すわことりっぷ *swako meets people*

25 years old * OL baseball/diving 旅と旅先の出会いを綴っていきます

出会えたCGの世界。

 

 

この国を選んだ理由は、1枚の写真。

 

 アメリカの女優Emmy Rossumのインスタグラムから。

www.instagram.com

「This country lokks like CGI. Or, CGI looks like this country.」

 

CGみたいな国って、どんなところなんだろう……

 

 百聞は一見にしかずとはこのこと。

そこはまさに、CGの世界に入り込んだような自然が広がっていた。

 

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これは全部、クイーンズタウンにある山 Mt. Ben Lomondからの景色。

 

この山、街の麓から誰でも登れる。

クイーンズタウン中心地から始められるトレッキングのコースはいくつかあるけれど、

どうやら一番キツイのがこれ、Ben Lomond Track。

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正直トレッキングってハイキングみたいなもんでしょとナメてかかっていた自分を

途中から説教したくなるくらいキツかった。

というのも、ナメていたために準備不足が過ぎたのが大失敗。

水はペットボトルの半分(朝は肌寒かった)、食料無し、ジムで履くレギンスにジーンズショーパン、north faceのシティ用リュック。

こんな格好、周りを見ても自分だけだった。

 

 

まず、スタート地点から少し上まで歩くかゴンドラに乗るかの選択肢がある。

もちろんここでは徒歩を選択。

麓からゴンドラ降り場までが意外と長くて1時間もかかった。

そして8時前からスタートしたため、道中誰にも会わず。

2日前にハカを楽しんだゴンドラ降り場の施設もまだ開いておらず、水も買えず。

 

ただ、そこからは割と元気だった。

なぜなら、その施設から「Ben Lomond Track」と書かれたコースを進み始めてすぐ、振り向いただけでこれが見れたから。

 

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この景気だけで感動して、ここで引き返していればあんなことにはならなかった…

でもここで働いてしまうのがスポ根魂。

長い一日がこの選択によって始まった。

 

朝早いと人が少なくて頂上までの絶景をほぼ独り占めできるのでおすすめ。

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ずっと、Emmy Lossumはどこから撮ったんだろう…ということばかり考えていた。

途中でふと思いつき、グーグルマップと彼女の写真に写っている地形を照らし合わせてみた。

そして、絶望…完全に、反対側からの景色だった。

後で調べて分かったことだが、セスナで反対側の山に行けるというツアーがあるらしい。

ただ想像通りお高いツアーだったので、私はこちらの無料自力ツアーで正解だったということ。

 

でも、彼女とは真反対から見ても、結局360度CGなのがこの国のすごいところ。

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気を取り直して、頂上をひたすら目指す。

登山の共はiPodのみ。

口ずさんでも誰にも聞かれない、最高な一人舞台。

たしかこの時はずっと関ジャニ∞を聴いてテンションを上げてた気がする。

 

でもそれができたのも途中まで。

節約していた水が底をつき始め、朝のパンで補給した糖分が足りなくなり始め…。

 

 

ちなみに朝行った地元民にも愛されているカフェはここ。

「Vudu Cafe」

www.vudu.co.nz

 

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無難に注文したトースが美味しかった。のは良かった。

でもそれが間違いだった。

 

登山前のボリュームではなかった。

 

頂上まで半分を超えたあたりからは、無心。

気付いたのが、下り坂が全く無いということ。

そもそも本格的な登山をしたことがないからよく分からなかったけど、

平らな道も少しの下り坂も全くなかったことだけは覚えている。

 

ひたすら頂上を見上げながら足を斜め上に一歩ずつ運んでいく作業の繰り返し。

途中からそんな感じで登っていた。

 

頂上までの道で休める箇所は一箇所。

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この先に、ベンチが1つだけある。

飲み物や食べ物は、もちろん売ってない。

そしてそのベンチから見た頂上がこれ。

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近いようで、あと少しのようで、元気が出るようで、

実はここからが一番の地獄。

 

とにかく急な石ころの道が容赦なくいじめてくる。

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その石ころの道は、キツ過ぎてカメラなんて持てなかったみたい。

一歩進んでは30秒休む、をひたすら繰り返して、

自分よりだいぶ上の年齢の方々にどんどん抜かれ、

その方々の背負っている水が喉から手が出るほど欲しくて、

自分の水はもう空っぽで。

 

最後の方は手を使って岩を登っていく感じ。

トレッキングという言葉の意味を事前学習しておくべきだった。

 

そんな過酷な時間も、意外なものが背中を押してくれた。

それは自分を抜かして行ったおじさん。

すでに頂上を満喫したようで、彼の帰り道に再び遭遇。

そして彼の言葉。

「頂上もうすぐだから!あと5分くらい!頑張れ!」

人って、母国語って、素晴らしいと思った。

少し涙が出そうになって、「ありがとう!」と言って最後の踏ん張り。

 

 

 

頂上からの景色は、言うまでもなく一番素敵だった。

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写真には収まらない、360度パノラマ絶景。

本当に、引き返さずにここまで来て良かったと心から思った。

この景色に出会えたことを心から誇りに思う。

もし水と食料があったらここからしばらく動かなかっただろうなと思う。

 

それができなかったのも、もう限界だったから。

 

5時間ほどかけて登った山を、3時間ぐらいで一気に降りた。

ゴンドラ降り場の休憩所で水2Lを買って飲み干して、

気付いたら1時間気を失っていた。

 

自分史上一番の脱水症状。

冗談抜きで、死ぬんじゃないかと思った一日だった。

 

 

 

Mt. Ben Lemondはたくさんのことを教えてくれた。

 

*お金をかけたツアーで見れた景色より、自分の足で死ぬ思いで見に行った景色の方が感動が遥かに大きいこと。

 

*人の温かみは絶大だということ。

 

*でも人間はある意味自然には勝てないということ。

 

*この大地が生んだ自然は永久に壊してはいけないものだと言うこと。

 

*山登りをする時は、十分な水、十分な食料、適当な服装が必要だということ。

 

山登りは人生と同じだということをよく聞くけど、

初めてそれを心の底から理解した。

 

こんなに自分を励まして頑張ったのはこの時はすごく久しぶりだった。

負けちゃいけない、逃げちゃいけない、そうすればこの先に素晴らしい世界がある。

この考えが数ヶ月後に自分を苦しめることにはなるけど、

この時はそれが私をニュージーランドが創り出したCGの世界へと導いてくれた。

この一日は、一生忘れないくらい私の中で意味のある一日になった。

 

 

またここに来て、万全な装備でもう一度挑戦したいと心から思った。

この国の大自然にまた出会える日を、日本で待ち続ける。